さて、ナカムラ家一同わくわくの生クリームの日。
期待に胸を膨らませる息子を前に
「ほら、これがほんとうの生クリームなんだよ」
「な、うまいだろ」
「こうして、こうやって、空気を入れるようにやってごらん」
「な、だんだんとろーっとしてきただろ」
「な、これがほんものなんだ」
「ほれ、ふわっとしてきた」
「おおっいい感じだ」
「これはうまいぞ」
「その辺のケーキ屋の生クリームなんて目じゃないぞ」
「ほれ、空気が入ってふわふわしてきた!」
「お父さんが小学生の頃はこんな贅沢なクレープは食べたことなかったぞ」
「これをほんとうの生クリームって言うんだぞ」
「やっぱり、生クリームだよな~」
「な、おもしろいだろ、こうやってクリームになるんだぞ」
そこへ「もういいよ」家人が一言ぴしゃり。さらに「押し付けがましい!」
私が熱弁をふるえばふるうほど、息子が退いていくのを感じたそうです。
そうだったかもしれない。
「滅多にないいい機会」「すばらしい生クリーム」「あわ立てる面白さ」
三拍子そろってつい力が入ってしまいました。
これって、前に自治体の食育プログラムに感じたある違和感に似ているかもしれない。
「教えなきゃ!」という力み。
ついつい教訓めいてしまったりするのです。
ただあわ立てる前の生クリームを舐めさせて、
泡だて器を正しく握らせて
角が立つまでひたすらいっしょにホイップして、
できた生クリームをクレープに包んで
おいしいおいしいと食べればそれで十分だったんですよね。
実際、生クリームたっぷりのクレープを一口頬張った時の息子の顔ときたら!




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